連載:わかりやすい年金のお話

第2章 公的年金をしっかり活用するには?
第4節  公的年金にも「扶養手当」があるの?

花子(ライター):この前、の奥さんは8歳も年下だという話が出ていたわよね?の年金には厚生年金もあるから安泰だ、なんて言っていたけれど60歳で定年退職すると65歳の受給開始まではどうするの?

剛(編集者):繰上げ受給かな。でも一生少ない額になるのでお薦めではないと言っていたね。ところで会社の給料で言うところの家族手当に相当するものはないのかい?

勉(研究員):そのものずばりではないけれど、あるといえばあるよ、加給年金と言うんだ。家族手当は、扶養の有無に関わらず生活を共にする「家族」(共働きの配偶者も含む)に対して支給されるよね。その意味では、公的年金に家族手当はないけれど扶養手当はあるんだ。つまり扶養」しているという事実が必要なわけだ。配偶者に850万円以上の年収がある場合には手当の対象にならないけど梅子さんのように専業主婦なら大丈夫だ。
 支給要件は以下の三つ:①厚生年金に20年以上加入、②被保険者が65歳以上で老齢厚生年金を受給、③被保険者が65歳到達時点で65歳未満の配偶者(*)または年度末年齢18歳未満の子どもがいること。ねんきん定期便には載っていないから知らない人も多いけどね…

*配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止(日本年金機構HPより)

剛(編集者):加給年金なんてこれまで聞いたことがなかったな。加給年金の支給額と支給期間は?

勉(研究員):配偶者だけなら年に39万円だ。月額で3万円強だな。さらに第1子、第2子がいるとそれぞれ年間224,500円で第3子以降子1人につき74,800円だ。期間は配偶者が65歳になるまで、または第1子が18歳の年度末までだ。妻が65歳になると加給年金の支給が打ち切られるのは自分の基礎年金をもらい始めるからだ。

花子(ライター):のように随分と年下の奥さんだと毎年39万円を8年間ももらえて合計300万円以上も自分の厚生年金+基礎年金に加えて得られるのね。最近、55歳を過ぎて若い奥さんとの間に赤ちゃんが生まれた友人がいるけれど晩婚化、晩産化が進んでいる今の世の中では随分と進んだ制度よね。その友人なんて自分が65歳時点でまだ子供が18歳になるまでは10年近くももらえるわけでしょう?厚生年金に加入しているは羨ましいわ。自分たちのような自営業者で国民年金にしか入っていないともらえないなんておかしいわ。

勉(研究員):だけれども花子のようにフリーランスをしている人には定年がないだろう?だから健康でさえあれば、いくつになっても稼げるから年金に頼らなくてもちゃんとした生活が送れるからね。それとに注意しておくと、前にも言ったように年金は本来、年金保険といって社会保険の一種だから、負担と受益のリンクが強く「申請主義」だから自分で申請しないとこの加給年金はもらえないからね。もう一言注意しておくと、には当てはまらないと思うけれど、厚生年金の受給を本来の65歳から繰下げる場合、その間は加給年金だけをもらうことはできないんだ。だから70歳受給で+42%だと喜んでいると妻との年齢差が5歳未満の場合は、加給年金は全く受け取ることができなくなるわけだ。

剛(編集者):繰下げ受給は考えてないから関係ないな。むしろ定年間近になってきている今から年金の受給額を増やす方法はないのかい?

勉(研究員):そうだな、大学卒業から働き始めて60歳定年で辞めた場合は38年間だ。のように途中で空白期間があるような場合はもっと少ないだろうな。ということは基礎年金の計算基礎は40年間で満額になる期間比例だから、60歳で辞めて65歳まで何もしないとその分、保険料を納めないわけだから年金額も満額より少ないね。だからそれが嫌ならやはり今の会社から居られなくなったとしても60歳以降も働き続けて厚生年金に加入することで経過的加算が増えるよ。1年間の加入で老齢基礎年金相当の金額が約2万円増えるんだからせっせと働くことだな。

花子(ライター):でも新聞で「在職老齢年金は問題だ」と言っている評論家がいたけれどあれは何なの?

勉(研究員):うん、60-64歳で特別支給の老齢厚生年金をもらっている人は「年金月額+総報酬月額相当額」が28万円を超えると年金支給額が調整され始めるという制度だから引っかかることがあるよ。65歳を過ぎると今度は46万円(2019年4月から47万円に変更との厚労省通知(2019年1月)あり)を超えると年金支給額が調整され始める。

花子(ライター):国民年金(基礎年金)しかもらえない自分にお得な話はないの?

勉(研究員):あるよ。国民年金の任意加入という制度はこの前説明したよね。40年の納付期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合に、60歳から64歳までの5年間、国民年金保険料を自主納付できる制度だ。また、付加保険料(月額400円)をプラスして納めることで、将来的に受給する年金額を増やすことができるよ。2年以上受給すれば納付額より受給額が多くなるからコスパがとてもいいんだ。
 それともっと大事なのは公的な個人年金ともいうべき「国民年金基金」だが、これは次回にしよう。