7 遺族給付について

1 配偶者が亡くなったら遺族年金がもらえる?

多額の未納のない配偶者に生計を維持されていた場合、18歳以下の子があれば遺族基礎年金を受給できます。また、配偶者が厚生年金の加入者か受給者なら、子の有無にかかわらず、遺族厚生年金を受給できます。

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 一家の大黒柱が不幸にして亡くなった場合、残された遺族が路頭に迷わないよう、死亡した者によって生計を維持していた遺族が受給できるのが遺族年金です。ただし、死亡した者に多額の保険料未納がないことが前提です。
 遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、受給要件が異なります。
 遺族基礎年金は、18歳以下の子のある配偶者(残された片親)か18歳以下の子(親がいない場合)が受給できます。18歳以下の子とは、詳しくは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する未婚の子を意味します。18歳以下の子がいなければ、遺族基礎年金が支給されることはありません。
 遺族厚生年金は、厚生年金の加入者か受給者が死亡した場合に、死亡した者によって生計を維持していた遺族が、子の有無にかかわらず、受給できます。18歳以下の子がある場合は、遺族基礎年金も併せて受給することができます。
 必要に応じ遺族基礎年金はどんな場合にもらえるの?遺族厚生年金はどんな場合にもらえるの?亡くなった配偶者が保険料を未納にしてたら遺族年金をもらえない?をご覧ください。

2 遺族基礎年金はどんな場合にもらえるの?

生計を維持していた人が死亡した場合、生計維持されていた18歳以下の子のある配偶者かそのような子が受給できます。ただし、死亡した人の国民年金保険料の未納が一定以内であることが必要です。

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 遺族基礎年金は、①国民年金の被保険者、②国民年金の被保険者であった60~64歳の日本国内に住所を有する者、③老齢基礎年金の受給権者、④保険料納付済み期間と免除期間の合計が25年以上の者、のいずれかが死亡した場合に、一定の遺族が受給できます。ただし、①又は②については、死亡した方の国民年金被保険者期間中に保険料未納期間が1/3を超えないことが条件です。なお、経過措置で、令和8年4月1日より前に死亡した場合は、死亡前の1年間のうちに未納期間がなければよいことになっています。
 遺族基礎年金は、18歳以下の子のある配偶者(残された片親)か18歳以下の子(親がいない場合)が受給できます。18歳以下の子とは、詳しくは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する未婚の子を意味します。配偶者と子がいる場合は、配偶者が受給します。配偶者は、婚姻の届け出をしていなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。
 子のある配偶者か子は、死亡した者の死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していたことが要件になります。生計維持は、同一の家計にあり、配偶者又は子の前年の収入が850万円未満か前年の所得が655万5千円未満であれば該当します。配偶者については、子と生計を同じくすることも要件になります。子と同一の家計にあるということです。

3 遺族厚生年金はどんな場合にもらえるの?

厚生年金の加入者か受給者が死亡した場合、生計を維持されていた遺族が受給できます。遺族の範囲は配偶者・子、父母、孫又は祖父母(夫、父母又は祖父母は55歳以上、子又は孫は18歳以下)で、この順によります。

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 遺族厚生年金は、①厚生年金の被保険者が死亡、②厚生年金の被保険者期間中に初診日がある病気かけがで、初診日から5年以内に死亡、③1級か2級の障害厚生年金受給権者が死亡、④老齢厚生年金の受給権者又は保険料納付済み期間と免除期間の合計が25年以上の者が死亡、のいずれかの場合に、一定の遺族が受給できます。ただし、①又は②については、死亡した方の国民年金被保険者期間中に保険料未納期間が1/3を超えないことが条件です。なお、経過措置で、令和8年4月1日より前に死亡した場合は、死亡前の1年間のうちに未納期間がなければよいことになっています。
 遺族の範囲は、①配偶者又は子、②父母、③孫、④祖父母です。この順で先順位者が受給します。ただし、夫、父母又は祖父母は、死亡した者の死亡時に55歳以上であることが要件です。配偶者は、婚姻の届け出をしていなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する、未婚者であることが要件です。
 先順位者が受給権を取得すると、後順位者は遺族厚生年金を受給できる遺族ではなくなり、転給されることはありません。配偶者と子がいるときは配偶者が受給します。
 遺族は、死亡した者の死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していたことが要件になります。生計維持は、同一の家計にあり、配偶者又は子の前年の収入が850万円未満か前年の所得が655万5千円未満であれば該当します。

4 遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方をもらえるのはどんな場合?

遺族基礎年金は18歳以下の子がある場合に支給されます。遺族厚生年金は死亡した人が厚生年金の加入者か受給者の場合です。この両方に該当すると、両方の年金を受給できます。

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 遺族基礎年金と遺族厚生年金では、受給要件が異なります。両方もらえるのは、両方の受給要件を満たしたときです。
 遺族基礎年金が支給されるのは、18歳以下の子(詳しくは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する未婚者)がある場合です。一方、遺族厚生年金が支給されるのは、厚生年金の被保険者か受給資格を有する方が亡くなった場合又は厚生年金の被保険者期間中の病気かけがで5年以内に亡くなった場合です
 必要に応じ遺族基礎年金はどんな場合にもらえるの?遺族厚生年金はどんな場合にもらえるの?をご覧ください。

5 遺族基礎年金の額はどのように決まるの?

配偶者と子の場合は老齢基礎年金満額相当(月6.8万円)に子の人数に応じ一定額を加算した額です。子だけの場合は老齢基礎年金満額相当(複数の場合は子2人目から加算した額を子間で均分した額)です。

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 遺族基礎年金の額は、老齢基礎年金満額相当が基本になります。基本となる年金額は、次のように算定します。

  年金額=780,900円×改定率

 ここに改定率とは、平成16年度を1とし、毎年度、物価や賃金の変動に伴って改定される率のことです。令和6年度の改定率は、68歳までの者は1.045、69歳以上の者は1.042です。従って、同年度における年金額は、68歳までは816,000円(月額68,000円)、69歳以上の者は813,700円(月額67,808円)になります。
 遺族基礎年金が支給されるのは、18歳以下の子がある場合です。18歳以下の子とは、詳しくは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する未婚の子をいいます。
 配偶者と子の場合は、老齢基礎年金満額相当に、子の数に応じ、加算された額になります。 子の加算は、第2子まで1子当たり「224,700円×改定率」、第3子以降は1人当たり「74,900円×改定率」で算定されます。令和6年度においては、第2子まで234,800円(月額19,566円)第3子以降78,300円(月額6,525円)となります。
 子が受給する場合(すなわち、受給する配偶者がいない場合)は、子が1人のときは、その子が老齢基礎年金満額相当を受給します。子が2人のときは、老齢基礎年金満額相当に「224,700円×改定率」を加算し、これを2人で均分します。子が3人以上のときは、第3子以降1人当たり「74,900円×改定率」を加算し、これを子の間で均分します。

6 遺族厚生年金の額はどのように決まるの?

死亡した厚生年金の加入者か受給者であった人についての老齢厚生年金相当額(加入期間が短いときは300月で計算)の3/4が基本です。

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 遺族厚生年金の額は死亡した方の老齢厚生年金の額の3/4が基本です。厚生年金は、給与等に比例する報酬比例年金です。従って、基本的には次のように算定します。


  年金額=死亡した者の平均標準報酬額(※)×0.005481×死亡した者の被保険者期間の月数×3/4
 

 ここに平均標準報酬額とは加入期間中の標準報酬額の累計額を被保険者期間の月数で除したものです。年金額の算式には、被保険者期間の月数を乗じる部分もありますので、結局、標準報酬額の累計額に千分の5.481を乗じたものになります。また、標準報酬額は受給権者の生年度により再評価された額となります。
 千分の5.481は報酬比例部分の乗率と呼ばれます。これまで改正が重ねられており、生年月日によってこれよりも高いものを用いる様々な経過措置が定められています。標準報酬額は過去における物価や賃金の変動をもとに調整されます。
 死亡した方が厚生年金の被保険者だったか、被保険者期間中の病気かけがで5年以内に死亡したか、1級又は2級の障害厚生年金の受給権者だった場合は、加入期間が短いときは、実際の被保険者月数に代えて300月で計算します。
 なお、遺族厚生年金を受給できる方が65歳になり、自らの老齢厚生年金も受給できるときは、上記の計算式による額か、上記の計算式による額の2/3と自らの老齢厚生年金の1/2を合算した額の、いずれか高い額になります。そして、まず、自らの老齢厚生年金を受給し、いずれか高い額の方が老齢厚生年金より高い場合に、その差額を遺族厚生年金として受給します。
 必要に応じ老齢厚生年金の額はどのように決まるの?遺族厚生年金受給者が老齢厚生年金も受給できる場合どうなる?をご覧ください。

7 亡くなった配偶者が保険料を未納にしていたら遺族年金をもらえない?

死亡した方が過去の国民年金加入期間中に1/3を超える保険料未納期間があると、その遺族は遺族年金を受給できません。ただし、当分の間は、過去1年間に滞納がなければ受給は可能です。

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 遺族基礎年金は、死亡した方が国民年金被保険者であったか、60~64歳であった場合、死亡した日が属する月の前々月までに国民年金被保険者期間があり、かつ、この期間中の保険料納付済み期間と免除期間を合算した期間が被保険者期間の2/3未満であれば、支給しないと定められています。死亡した方が、厚生年金の被保険者だったか、厚生年金被保険者期間中の病気かけがで5年以内に死亡したか、1級又は2級の障害厚生年金の受給権者だった場合は、遺族厚生年金について同様です。すなわち、死亡した日の前々月までの被保険者期間中、保険料未納期間が1/3を超えると、受給できません。
 年金は保険としての性格を有しています。保険とは、大きな集団に対しては必ず発生するが、集団の中の誰に発生するか分からないリスクに、集団で備えるというものです。このことから、給付を受けるには、保険料を支払っていることが前提になります。この条件の基準として、被保険者期間中の2/3以上の保険料納付(免除)が定められています。
 2/3以上納付(免除)かどうか判定される期間は、死亡した日の前々月までの国民年金被保険者期間です。被保険者になって直後に死亡した場合は、この要件は関係ありません。
 厚生年金加入中も国民年金第2号被保険者期間であり、国民年金被保険者期間に算入されます。通常、厚生年金保険料は月々の給料から天引きされて会社を通じて支払われますので、その期間も保険料納付期間になります。
 なお、経過措置で、令和8年4月1日より前に死亡した場合は、死亡日の前々月までの1年間のうちに未納期間がなければよいことになっています。

8 遺族厚生年金受給者が老齢厚生年金も受給できる場合どうなる?

65歳以上になり自らの老齢厚生年金も受給できる場合は、まず自らの老齢厚生年金を受給し、その額より遺族厚生年金の額(又は死亡した者と本人の老齢厚生年金の合計の1/2)が多い場合、差額を受給します。

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 公的年金では同一人が支給事由の異なる2つ以上の年金を受けることができるときは、いずれか1つを選択して受給します。これを「1人1年金の原則」といいます。
遺族厚生年金を受給している方が62歳(女性)又は64歳(男性)になり特別支給の老齢厚生年金を受給できるようになったときは、この原則に沿って、どちらかを選択します。しかし、65歳以上の本来支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金の場合は、これと異なった取扱いが定められています。
 遺族厚生年金の額は死亡した方の老齢厚生年金の額の3/4が基本です。厚生年金は、給与等に比例する報酬比例年金です。従って、基本的には次のように算定します。


  年金額=死亡した者の平均標準報酬額(※)×0.005481×死亡した者の被保険者期間の月数×3/4



 ここに平均標準報酬額とは加入期間中の標準報酬額の累計額を被保険者期間の月数で除したものです。また、標準報酬額は受給権者の生年度により再評価された額となります。標準報酬額については必要に応じ標準報酬額とは何?をご覧ください。
 遺族厚生年金を受給できる方が65歳になり、自らの老齢厚生年金も受給できるときは、上記の計算式による額か、上記の計算式による額の2/3(3/4の2/3ですので、結局、死亡した方の老齢厚生年金の1/2)と自らの老齢厚生年金の1/2を合算した額の、いずれか高い額になります。そして、まず、自らの老齢厚生年金を受給し、そのように計算した遺族厚生年金の額の方が高い場合は、その差額を受給します。すなわち、遺族厚生年金のうち自らの老齢厚生年金に相当する額は支給停止になります。
 必要に応じ老齢厚生年金の額はどのように決まるの?をご覧ください。

9 中高齢寡婦加算って何?

遺族厚生年金を受給する妻で、夫死亡時に40歳以上で18歳以下の子がないか死亡後40歳以上になって子が19歳の年度に達した場合、64歳までの間、遺族基礎年金相当額の3/4の加算を行うものです。

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 中高齢の妻は、夫に先立たれると、就労して自活することが困難であることが一般的です。そこで、遺族厚生年金を受給する中高齢の妻が、遺族基礎年金を受給できない場合は、遺族厚生年金に遺族基礎年金相当額の3/4の加算が行われます。これを中高齢寡婦加算といいます。中高齢のメルクマールは40歳です。
 加算の対象になるのは、遺族厚生年金を受給することができる妻について、①夫死亡時に40歳~64歳であったか、②40歳到達時に遺族基礎年金の受給要件に該当する18歳以下の子(詳しくは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する未婚の子)と生計を同じくする場合です。ただし、遺族基礎年金を受給できる間は、中高齢寡婦加算は支給停止になります。子が19歳年度に到達するなどして遺族基礎年金を受給できなくなると、中高齢寡婦加算が行われるようになります。
 なお、②から、40歳になる前に子が19歳年度に到達するなど遺族基礎年金の受給要件を満たさなくなった場合は、中高齢になる前に遺族基礎年金の受給要件を脱しているので、40歳以降も中高齢寡婦加算は行われません。
 中高齢寡婦加算の金額は、遺族基礎年金相当額の3/4です。遺族基礎年金相当額は、老齢基礎年金満額相当ですので、老齢基礎年金満額相当の3/4と考えることができます。
 中高齢寡婦加算の対象になっている妻が65歳に達すると、自らの老齢基礎年金を受給できますので、中高齢寡婦加算は行われなくなります。

10 寡婦年金とは何?

国民年金第1号被保険者期間が10年以上ある夫が年金を受給せずに死亡した場合、生計を維持されていた妻が60~64歳の間受給できる年金です。金額は夫の被保険者期間に対応する老齢基礎年金相当額の3/4です。

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 寡婦年金は、第1号被保険者としての保険料納付済み期間と免除期間を合わせた期間が10年以上ある夫が何らの年金も受けることなく死亡した場合に、一定の要件に該当する60歳から64歳までの妻が受け取ることができる年金です。この10年以上は第1号被保険者としての期間ですので、厚生年金被保険者期間は含まれません。
 国民年金保険料の納付済み期間か免除期間の合計が10年を超えると、生きていれば老齢基礎年金を受給できたはずです。しかし、老齢基礎年金も障害基礎年金も受給することなく亡くなった場合に、夫によって生計を維持されていた婚姻期間10年以上になる65歳未満の妻が、60歳以降に寡婦年金を受け取ることができます。年金額は、第1号被保険者としての夫の国民年金保険料の納付実績に基づき夫が生きていれば受けることができた老齢基礎年金額の3/4です。
 寡婦年金は、妻が自らの老齢基礎年金を繰上げて受け取ると、受給することができません。また、遺族基礎年金、障害基礎年金、老齢厚生年金などを受給することができるときは、支給停止になります。死亡一時金を受け取ることもできるときは、どちらかを選択します。
 必要に応じ死亡一時金とは何?をご覧ください。

11 死亡一時金とは何?

国民年金保険料を36月(3年)分以上納付した人が年金を受給せずに亡くなり、遺族基礎年金を受けられる遺族がいない場合、生計同一関係にある遺族に納付月数に応じた一定額の一時金が支払われるものです。

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 死亡一時金は、国民年金第1号被保険者としての保険料納付済みの月数、保険料1/4免除期間の月数の3/4、保険料半額免除期間の月数の1/2、保険料4/3免除期間の月数の1/4を合算した月数が36月(3年)以上ある方が、何らの年金を受けることなく死亡し、その遺族に遺族基礎年金が支給されない場合に、遺族が受けることができる一時金です。
 死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹で、死亡の当時生計を同じくしていたものです。受ける順位はこの順によります。
 金額は、死亡した方が国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納付した月数に応じて、12万円~32万円です。また、付加保険料を3年以上納付しておれば、8,500円が加算されます。
 なお、遺族である妻が寡婦年金を受けることもできるときは、どちらかを選択します。
 必要に応じ寡婦年金とは何?をご覧ください。

12 配偶者に愛人がいてそちらで過ごすことが多かった場合どうなる?

通常は法律上の配偶者が受給します。ただし、婚姻関係が実体を全く失っている場合(10年以上夫婦としての共同生活が行われていない状態が固定など)には、内縁関係にある者が受給者となります。

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 遺族年金を受けることができる配偶者は、婚姻の届け出をしていなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。届出をしていない場合は、内縁関係といいます。
婚姻の届出をした配偶者がいながら、内縁関係の者がいる場合を、重婚的内縁関係といいます。民法では、重婚は禁止されています。このため、離婚しない限り、内縁関係の者と婚姻の届出をすることはできません。
 婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることから、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然です。従って、通常は婚姻の届出をしている法律上の配偶者が遺族年金を受給します。
 ただし、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者が事実婚関係にある者として認定され、遺族年金の受給者になります。具体的には、次のいずれかに該当する場合等です。①当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき、②一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき。
 夫婦としての共同生活の状態にない、といい得るためには、次に掲げるすべての要件に該当することを要するものとされています。①当事者が住居を異にすること、②当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと、③当事者間の意思の疎通をあらわす音信又は訪問等の事実が反復して存在していないこと。

13 配偶者が行方不明で生死が不明な場合どうなる?

7年間行方不明であった人は失踪宣告によって死亡とみなされます。生計維持関係は行方不明時の状態で判断されます。船舶や航空機の事故で3か月行方不明の場合は、事故にあった日に死亡したものと推定されます。

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 遺族年金は被保険者や受給権者の「死亡」が要件になっています。これには実際の死亡(いわゆる自然死)だけでなく、行方不明になって失踪宣告を受けたことにより死亡したとみなされる場合など、いわゆる法定死も含まれます。
 民法の規定により、7年間行方不明であった人は、家庭裁判所による失踪宣告により、死亡したものとみなされます。死亡したとみなされるのは行方不明になってから7年後です。
この場合、遺族年金の受給要件にある生計維持関係や保険料納付要件は、行方不明になった当時の状態で判断されます。ただし、受給の要件になる死亡した者との身分関係、年齢及び障害の状態については、7年後の時点で判断されます。
 また、年金法の規定により、船舶や航空機の事故で3か月行方不明で生死が分からない場合、あるいは、3カ月以内に死亡が明らかになっても死亡時期が分からない場合は、事故にあった日に死亡したものと推定されます。
 なお、死亡したとみなされ、あるいは、推定されていた者の生存が明らかになった場合は、受給要件が最初から成立しなかったことになります。その場合、それまで受けた年金は民法の規定する不当利得に当たりますので、現に利益の存する限度において返還する必要があります。

14 妻の年齢が若い場合にも遺族年金が一生出るの?

厚生年金の加入者か受給者であった夫が死亡した場合、子どものいない30歳未満の妻には夫死亡時から5年間の有期年金になります。なお、年齢に関係なく、配偶者が再婚すると遺族年金の受給権は消滅します。

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 子のない若齢寡婦は、就労して自活の途を講じやすいと考えられます。しかし、夫の死後、生活の整理をして自活の目途を立てるまで一定の時間と準備が必要です。
 そこで、遺族厚生年金の受給権を得た当時30歳未満であった妻が、遺族基礎年金の受給権を取得しないとき(すなわち、18歳以下の子がないとき)は、その遺族厚生年金は5年間の有期年金になります。
 夫の死亡により遺族基礎年金の受給権を得た妻について、30歳に到達する前に、遺族基礎年金の受給権が消滅したとき(子の19歳年度到達、婚姻、死亡など)には、受給権消滅から5年間の有期年金となります。
 なお、年齢に関係なく、配偶者が再婚すると遺族年金の受給権は消滅します。これは、新たな生計維持関係が形成されると考えられるためです。婚姻の他、直系血族・直系姻族以外の養子になった場合も、同様です。

15 労災で死亡した場合どうなる?

死亡の原因が労災の場合、遺族基礎年金や遺族厚生年金に加えて、遺族補償年金などの労災保険法に基づく給付も行われます。ただし、労災保険の給付が本来の額より減額されます。

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 公的年金である遺族基礎年金と遺族厚生年金では、死亡の原因が労災であるかどうかは問いません。従って、給付の額などが特段変わることはありません。
 他方で、死亡の原因が労災の場合、労働基準法の規定に基づき、使用者責任で一定の補償を行わなければならない旨が定められています。労働者災害補償保険法は、この使用者責任を迅速・確実に履行するため設けられた制度です。累次の制度改正により労働基準法に定める補償内容よりも給付が充実しており、労災に関する社会保障制度として機能しています。労働者を使用する事業所に強制適用されますので、労災の場合は通常、この労災保険法による給付を受けることができます。
 労災で死亡した場合は、労災保険法による遺族補償年金(通勤災害の場合は遺族年金)を受給できます。この死亡について、公的年金の給付である遺族基礎年金又は遺族厚生年金を受給するときは、労災保険法による年金は、公的年金の種類に応じ0.80~0.88の調整率を乗じた減額されたものとなります。
 なお、労災保険法の適用がない場合(5人未満の農林水産業個人事業所での労災など)は、労働基準法による遺族補償をうけることができますが、この場合には、公的年金からの給付である遺族基礎年金及び遺族厚生年金は6年間支給停止されます。

16 遺族年金はいつまで受給できるの?

一般に年金の受給権は死亡すると消滅します。遺族年金についてはこの他、婚姻や親族以外との養子縁組をすると受給権が消滅します。子が18歳になる年度末で遺族基礎年金の受給は原則として終了します。

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 公的年金は基本的に終身年金ですので、受給権を有する方が亡くなるまで支給されます。逆に言うと、死亡すると受給権が消滅します。
 この他に、遺族年金に特有の受給権消滅事由がいくつか法定されています。婚姻をした場合、又は、直系血族・直系姻族以外の養子になった場合は、新たな生計維持関係が形成されると考えられることから、遺族年金の受給権は消滅します。婚姻や養子には、届出をしていなくても事実上それらと同様の事情にある場合を含みます。
 遺族年金の受給権を有する子が離縁によって死亡した者の子でなくなったときは、その子の受給権は消滅します。なお、配偶者については、意思表示によって死亡した者との姻族関係を終了(いわゆる死後離婚)しても、あるいは、旧姓に戻しても、それだけで受給権が消滅することはありません。
 遺族基礎年金は、18歳以下の子(詳しくは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する未婚者)がある場合に支給されます。従って、障害状態にない子が18歳になると、その年度末で、その子に係る遺族基礎年金の受給は終了します。子がそれより早く婚姻をしても、同様に受給は終了します。また、障害等級の1級又は2級に該当する子が20歳に到達したときも同様です。すべての子がそのような状態になると、遺族基礎年金の受給権は消滅します。
 遺族厚生年金は、父母、孫、祖父母が受給権者になることがあります。この場合で、死亡した者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、先順位者である子に受給権が生じることによって、父母等の受給権が消滅します。